レッドペッパー~オレンジの狂気~私はただひたすらに歩いていた。ここがどこであるのか、 自分が探しているはずの真実の何とやらはどこにあるのかなんて さして重要でないと私は知っていた。 最後に出逢ったニュースは近くて遠いのか、遠くて近いのか、 どこかの国の大統領が変わったというものだったが そんなニュースも私にはさして縁がない。 今、心にあるのは あえて言うなら「この国も自分も狂っている」ということぐらいだろう。 私がただ今背負っているのはステイタスでもプライドでもない。 何十年も前に初めて足掻き、もがき苦しみ生まれ出でたこの生命ぐらいなものだ。 退職届を書いたのは、医者に仮面鬱だから休みを取るように言われて 半年休んで復帰した日のことだ。 自分が座っていた席は茶髪の少年がパソコンを触っており ロッカーもなくなっていた。 「待っているからしっかり治すよう」告げてくれた 15年以上の付き合いの部長は一度顔を合わせたが 目を合わせることはなかった。 それからしばらくは更に貯金を崩していたが、3桁が2桁に、 そしてある日1桁なった為、手元に全て卸ろした。 つまり通帳は只の過去の栄光でしかない。 昔4桁はあったモノが今は「0」を指している。 ~オレンジの狂気~ 何日も何日も歩いていたら食料がとうとう尽きた。 なくなりそうな前兆があったため、店があれば買おうと思ったのだが 樹海に店が存在しているはずもなく 初めの頃はペットボトルや空き缶が転がっていたが、 奥に進んでいる今、何もない。 水が流れている分、自分はまだ7日程は生きれるはずだと予測する。 |